坂越の町並みと歴史:港町・坂越を歩いて知る牡蠣の産地

メニューに産地の名前を書くとき、その土地のことを一言添えられると、お客様との会話が広がります。今回は、私たちが牡蠣を育てている兵庫県赤穂市の坂越(さこし)という町のお話です。

山の上から見た坂越湾と港町。湾の中ほどに生島が浮かぶ

坂越はどんな町か

坂越は、兵庫県の西の端にある赤穂市の東部の地区です。瀬戸内海に面した坂越湾を抱え、古くから港町として栄えてきました。上の写真は山の上から湾を見下ろしたところで、弓のようにカーブした浜に沿って町が広がっています。

湾に面した町並みには、昔ながらの家並みが残っています。海と山にはさまれた小さな町で、坂道の先にすぐ海が見える。そんな近さが、坂越らしさです。

私たちの加工場も、この坂越の町の中(赤穂市坂越319)にあります。湾で育てた牡蠣を、町の加工場で洗い、出荷しています。

大避神社と「坂越の船祭り」

坂越の町を語るときに欠かせないのが、大避(おおさけ)神社です。秋祭りの「坂越の船祭り」でも知られ、海とともに暮らしてきた町の歴史を今に伝えています。

生島の岸辺に建つ鳥居と社殿

生島の森と、千種川

湾の中ほどに浮かぶ緑の島が「生島(いきしま)」です。生島は大避神社の神域として、古くから人の立ち入りが禁じられてきました。島をおおう「生島樹林」は国の天然記念物に指定され、魚つき保安林にもなっています。魚つき保安林とは、海辺の森が魚や貝の暮らす海を守るはたらきをもつことから、切らずに残していく森のことです。

もう一つ、坂越湾には、宝珠山・茶臼山のふもとを流れる清流・千種川(ちくさがわ)の養分も流れ込みます。人が守ってきた島の森と、山から川が運ぶ養分。その両方が届く湾で、牡蠣は育ちます。

町と海が、牡蠣の味をつくる

坂越湾は、まわりを山と島に囲まれていて、波がおだやかです。牡蠣は海水ごとプランクトンを取り込んで育つため、餌のもとになる養分がどれだけ届くかが大切です。山と川と島と海が近い距離でつながっていることが、この湾の牡蠣の土台になっています。

冬の真牡蠣「坂越の生かき」は、いかだから縦に吊るして育てる垂下式という方法で育てています。販売開始は12月初旬〜中旬の予定です。

お店で「坂越」を伝えるときのひとこと

メニューや黒板に産地を書くときは、たとえば次のような一言が使えます。

  • 兵庫県赤穂市・坂越湾の牡蠣
  • 森の島と清流が育てる、瀬戸内の港町・坂越の牡蠣
  • 国の天然記念物「生島樹林」の浮かぶ坂越湾から

産地の話は、牡蠣を選ぶお客様にとって、味を想像する手がかりになります。仕入れ先を選ぶときに産地のどこを見るかは、牡蠣の仕入れ先の選び方でもまとめています。

坂越の町に来られる機会があれば、湾沿いを歩いて、生島と筏の並ぶ海を眺めてみてください。牡蠣が育つ景色を知ると、一皿の見え方が少し変わるはずです。

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この記事を書いた人:光栄水産 業務用担当
兵庫県赤穂市・坂越湾で、牡蠣の養殖から加工までを自社で行っています。

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